中国にあって日本にないサービス [生活]

中国にあって日本にないサービス

タイトルを見て「反対じゃないの」と思った方もいるかもしれない。でも、このタイトルでいいのである。では、その「日本にないサービス」とは何か。それはすなわち、銀行のキャッシュカードでショッピングができるというサービスである。おなじみの「銀聯マーク」がドアに貼ってあるお店や飲食店では、キャッシュカードによって決済ができるのである。キャッシュカードを出すと、店員さんが専用機械に付いているスリットの中でそれをサッとこする(刷卡という)。その後、機械がプリントした用紙にサインをすればそれで決済はOK。まあ、決済形式から見れば、クレディットカードと同じと言ってよい。

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これは便利だ。何よりもキャッシュを持ち歩かなくて済むのがいい。飲み屋で財布の中身を気にしながらメニューを選ぶなんてのは粋ではない。「何だ。クレディットカードと同じじゃないか」という声が聞こえるが、これは、コンビニやスーパーでの20元、30元の買い物でも使えるところがミソ。こんなところで自慢げにVISAのゴールデンカードを見せびらかす奴なんていないだろう。また、クレディットカードには「カード地獄」がつきものだが、この刷卡はあくまで預金の範囲内の使用となるから安心だ。お店のほうでも「現金の処理のことを考えればこちらとしても楽」と言っている。

こんなに便利なサービスなのに、日本ではあまり普及していないようだ。銀行のデヴィットカードというのがこれに近いようだが、これを受け入れているお店は少ないようだ。だから、事実上「日本にはない」と言ってよいだろう。どうして「ない」なのかご存知の方がいれば、ご教示願いたいところである。

ところで、中国に17年もいてこの刷卡の存在を知らなかった方もいた。これもまた不思議な話である。

柚子 [生活]

柚子は柚子に非ずの話

 漢語の勉強をすると、意外なことに気付く。今回はその辺の話題を少し。
晩秋の南京にはいたるところの店に柚子が並べられ、人々が抱きかかえるように買ってしていく。秋の名残の風情を一身に背負った果物だ。柚子。辞書で引くと、「you①[~子・zi]ザボン、またその果実:俗に[臭橙]②[朱zhu欒] という。」(『中日大辞典』)とある。これは日本でもおなじみの文(ぶん)旦(たん)だ。南九州、特に鹿児島はその産地として名高い。この文旦汁で作った「ボンタン飴」は今どき全国どこでも買える。「唐九年母」(『物品識名』)の異称もあるから、これまた大陸渡来の果物だろう。
では、日本の柚子はどうか。辞書は「香橙、蟹橙」とあっけない。そこで『大百科事典』(平凡社)を引くと、「ヘンルーダー科の常緑灌木。幹は高さ二、三米に達し、枝に刺あり、葉は長卵形で鋭尖頭をなし、全縁にして滑澤である。葉柄に翼を俱ふ。初夏の候五弁の白色花を開く。果実は球形にして初め緑色、成熟して黄色となり、径五、八糎あり、表面に細かい疣粒がある。裂けば強き香気を発す。酸味強く、生食し得ないが、加工して食用に供する。」とあるから、普通にいう柚子に違いない。径五㌢ほどの小型の柑橘、和食には欠かせない酢みかん。同じ柚子でも別物である。日本の柚子はもともと柚酸(ゆず)が原義。これもまた大陸から渡来した。
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十一月は冬の初めてきたるとき故国(くに)の朱欒の黄にみのるとき
                     北原白秋
朱欒の実もろ手に余る朱欒の実いだきてぞ入る暗き書斎に
                     若山牧水
椿。椿は無数の園芸種があり、愛好家も多い。わが家にも侘助の紅白があり、目を楽しませてくれる。ところが大陸の椿は椿ではないのでびっくりする。辞書には[椿]chun①チャンチン:中国原産、ケヤキに似たセンダン科落葉高木。葉は奇数羽状複葉。若芽は香気があり食用される。(つばきではない)とある(『中日大辞典』)。漢語でいう香椿だ。昔は「唐変木」とよばれ、立派な救荒作物だった。南京では春になると、屋台で新芽が売られ、いささか高値だが、それでも求めて帰る人が少なくない。李府街の宿舎の庭にも植えられていて、芽を摘む人々を見たものだった。珍味である。「唐変木」といえば偏屈な人の謂、なぜ香椿にそれを当てたかは分からない。香椿は決して変木などではない。
椿の中国名は山茶、その花が山茶花。日本では山茶花といえば「さざんか」、椿ではない。「さざんか」は中国では茶梅という。ところで、山茶花を「さざんか」と読ませるのはいかにも苦しい。昔から疑問だった。私は「山茶花(さんさか)」の音転か、「茶(さ)山花(ざんか)」の首位転換に起因すると思う。
風しげく椿の藪を吹き揺する葉がくれの花葉おもての花
                    土田耕平
わが庭の古木山茶花咲き出でて今より後の冬を紅くす
                    川田 順
芙蓉。『大辞典』には「落葉灌木。葉は円形で掌状に浅裂し、花は大形で淡紅色・白色の美麗なる花冠を有す。九州―台湾の山野に自生し、観賞のため植栽す。別名、モクフヨウ・キハチス。」とある。ところが『日中辞典』を引くと、「〈植〉1蓮、2芙蓉花」とある。これからすると、芙蓉は蓮が原義であったことが知られる。別名「キ・ハチス」がそれを物語る。晩唐の詩人陸亀蒙の五絶に詠う紅衣は明らかに蓮の花だし、李渉、王昌齢、陸長源等の詩に出てくる芙蓉もすべて蓮の花である。
こう考えて来ると、木芙蓉という意味もあった蓮の花はわが国では意味が変容し、もっぱら芙蓉花を指すようになり、大陸では蓮を芙蓉とする原義が保持されてきたということであろうか。
 芙 蓉
閑吟鮑照賦
更起屈平愁
莫引西風動
紅衣不耐秋

「補記」写真は、我が家の改良柚子「晩白柚」(W D)

                 

硬臥(二等寝台列車)の旅 [生活]

 私事ですが1984年から85年までの一年間北京に留学しておりました。 小生は長期休暇になる度に旅行に出かけていたのですが、主な交通手段は鉄道でした。
 毎回長距離移動になるのと宿泊費節約のため、よく寝台列車を利用していたのですが、勿論お金がないので一等寝台の『軟臥』ではなく、二等寝台の『硬臥』ばかりです。
 いつもの事ながら同じ車両の中国人たちが次から次へと話しかけて来くるので、拙い中国語を駆使して会話の練習に励みました。 こうして長い旅でも時間はあっという間に過ぎてゆきました。
 当時は文革が終わって十年に満たなかった頃で、外国人が非常に珍しかったのでしょう。 また胡耀邦総書記(当時)の親日的政策のお陰で、日本人であれば行く先々で歓迎を受けました。 
 そんな良き時代が確かにあったのです。

 そんな訳で、小生は学生時代から硬臥には乗り慣れていたので、就職してからも中国の地方へ出張する際は時々この硬臥を利用しておりました。
 先日深圳へ出張する時も、久しぶりに硬臥のチケットを購入して片道約24時間の旅を楽しんでみたのですが、車両の作りはほぼ当時と変わっていません。

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 ここで、小生が硬臥を利用する場合、注意しているポイントを下記してみたいと思います。

 ①硬臥は上・中・下の三段(上鋪・中鋪・下鋪)に分かれていますが、上鋪はかなりの高さなので慣れない人は上鋪は避けた方が良いでしょう。
 ただ、照明の位置が近いので、寝ながら本を読むには上鋪も悪くはありません。
 (因みに、一等寝台の軟臥であれば上下の二段なので、特に高さの問題はないと思います。)

 ②荷物棚のスペースが限られているので、荷物の多い方は早めに乗車して自分のベット近くの場所を確保した方が良いでしょう。
 (下段ベットの下にもスペースがありますが、ここに収納すると多少荷物が汚れます。)

 ③車中で盗難にあった事はありませんが、就寝時は貴重品は枕元に置くか、体に身につけるようにした方が安全です。
 現金は二つ以上の財布に分けて保管し、パスポートはコピーを取っておいて念のため別のカバンにも入れておいた方が良いでしょう。

 ④20時間を越える長旅の場合、1.5リットルくらいのミネラル・ウォーターを持ちこんだ方が良いでしょう。
 (なにしろ中国人の旅客は後先を考えずに水を消費するので、翌朝は水が無くなって洗面や手洗いに困ることがよくあります。)

 ⑤各車両に給湯器があるので、携帯用のコップや茶葉・インスタントコーヒーなどの飲み物を持ってゆくと良いでしょう。
 また、カップ麺を一つ携帯してゆくと、食事時間以外にお腹が空いた時に重宝します。

 ⑥食事は弁当やカップ麺を売りに来るので、それで間に合わせれば良いと思います。
 列車の真ん中辺りの8号車近辺には食堂車もあるので、旅情を楽しみたい方は利用してみて下さい。

 ⑦夜の就寝時には消灯されるので、眼の悪い方は携帯用のライトを枕元に置いておいた方が良いでしょう。 また、夜間にトイレに行く時には自分たちのコンバートメントの位置を確認し、出来れば目印になるようなものを残しておくと良いでしょう。
 (暗がりなので、戻るときには自分のベッドの位置がわかり難くなっています。)

 ⑧トイレに紙は備えつけられていないので、必ずちり紙は携帯して下さい。 また、タオルや洗面用具も必携アイテムです。

 ⑨最近は旅行者が増えて寝台席の切符も取り難くなっています。 今では全国の切符が買えるし、また切符の買い取りや『改簽』(日付変更)も出来るので、早めのチケット購入をお勧めします。
 (最悪二等座席の『硬座』で一晩過ごさなねばならないとしたら、小生でもチョット勇気が必要です。)

 ⑩列車での旅行に限りませんが何か事故が起こった場合に備えて、旅先のエリアを管轄する領事館の連絡先はメモしておいた方が良いでしょう。


 ざっとこんな感じでしょうか。

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 まあ、小生としては特に若い学生さんたちに是非硬臥の旅を楽しんでもらいたいと思っています。
山間部などをユックリ走る在来線の車窓からは、高速鉄道からでは窺い知れない中国の本当の姿が垣間見える筈ですから。
 それでは気をつけて、いってらっしゃい! (AK)


私の歯科治療体験談 [生活]

 前歯が抜けた時のことです。前歯が抜けると、見た目にとても恰好悪く、さっそく歯科医院へ行きました。閉院時間の15分ほど前だったと思います。


 そんな時間は、締め切りアウトとされるのが普通だそうですが、当時通訳してくれた南大生が頑張ってくれ、なんだか外国人ということで、受け付けてくれました。


 仮の治療にするか、根本的に治すかと聞かれ、即座に「仮の治療でお願いします」と答えました。


 抜けた歯を見せましたが、要らない、と言ってごみ箱に捨てられました。


 ところが治療の途中で、治療中の医者が他の医者の所に行って相談を始めました。患者の目の前で、医者が心配そうな顔をして、寄り集まって相談です。日本では、ありえな~~~い。


 その結果、捨てた「あの歯」を使おうということで、あの歯は、ごみ箱から拾いあげられ、くっつけられることになりました。


 グェッ。


 半年は持つでしょうと言われましたが、1年半ほど持ちました。(KK)






歯科治療体験 [生活]

 先に南京の病院について書きましたが、ついでに歯科についてもふれてみたいと思います。 実は小生は南京の歯医者さんにも何度かお世話になっているのです。
 (歯科の中国語は『牙科』ですが、歯科総合病院になると『口腔医院』となります。)


 一度目は親不知の抜歯でした。
 ある日、南京に赴任する前から気になっていた下顎の親不知がズキズキ痛み出し、我慢が出来なくなりました。
 それで、何となく良さそうな『鼓楼口腔医院』に行ってみたところ、最初は若いインターンの先生が対応してくれました。 ただ、彼では手に負えなかったようで、そこでベテランの先生と交代です。
 レントゲンを撮って病状を確認してから、麻酔・切開、そして抜歯。
 その方法は昔ながらのやり方で、ハンマーとノミみたいなのが出て来た時は正直驚きました。
 でもさすがベテラン。 何度か衝撃を加えた後、無事親不知が抜けました。 費用は1本400元くらい(三年前)。
 因みに以前日本の歯医者に見積もってもらったら、親不知を4本抜けば20万円を超える出費になるのだとか。 それに比べれば確かにお得だったかも。

 二度目はよくある詰め物(アマルガム)の脱落です。
 接着し直すだけなら簡単なのではと思い、市井の「牙科」に行ってみたのですが、接着材に良いものがないとのことで、漢中路にある『江蘇省口腔医院』に行くように言われました。
 それで省口腔医院まで行って案内係に事情を説明したら、「修復科」を紹介されたので、そちらのセクションに行ってみることに。
 施術は詰め物を洗浄してから、接着剤をつけて装着し直すだけ。 費用はカルテ代を含んで40元くらい(2~3年前)でした。
 ところが、詰め物の具合がそもそも良くなかったのか、その後2回もまた脱落を繰り返しました。
 その度に省口腔医院に通ったのですが、面倒くさいので一時帰国の際に日本の掛かり付けの歯科医でやり直してもらいました。 以来脱落はありません。


 さて南京の歯科医の印象ですが、シッカリした病院であれば設備は立派で優秀な医師もいるのだろうと思います。
 ただ、優秀な医師の高級科を指定するとそれなりに費用が高くなる様で、つまり美容院で腕の良い美容師を指定するのと同じ要領です。
 大衆向けの一般外来は学生みたいなインターンの若い先生が多く、なんだか患者は練習の道具にされている(?)のではと勘繰りたくなります。
 勿論彼らの施術が信頼出来ないという訳ではありませんが、本音をいえば南京での歯科治療は緊急時に限定し、本格的な治療はやはり日本でやりたいと思っています。

 尚、最近南京でははインプラント手術なども広く行われるようになり、費用も日本と比べれば圧倒的に安いようです。
 ただ、小生は金属業界で仕事をしている者なのですが、歯茎に埋め込むチタン合金部品の品質が本当に大丈夫なのかどうしても気になってしまいます。
 やはり自分の体内に埋め込むものなので、価格よりも品質を重んじたいですね。 (A.K.)



南京の病院 [生活]

 海外に居住していて、出来ればお世話になりたくないのがお医者様です。
 ましてや言葉が通じなければ不安が増すものかも知れません。 病気になった時、最初は出来れば言葉のわかる知人や同僚に付き添ってもらいたいもの。
 しかし、休日や夜間または旅行先で発症した場合、最悪一人で受診しなければならない可能性もあります。

 さて、小生の場合彼これ四年ほど南京に駐在しておりますが、持病の痛風の発作などで何度か当地の病院で治療を受けました。
 こんなことはあまり自慢にはなりませんが、ご参考までにこちらの病院での受診のやり方などを下記してみることにします。


 ①大きな病院であれば必ず案内係がいる筈なので、先ずは外国人の患者であることを説明し、手続きの方法とどの診療科や担当医に診てもらえばよいかアドバイスしてもらいましょう。
 出来れば事前に自分の病名を辞書で調べておいた方が良いでしょう。
 因みに、発熱は『发烧』、風邪は『感冒』、インフルエンザは『流感』、下痢は『拉肚子』、痛風は『痛风』などなど。 会話に自信のない方は、自分の病名を書いて持ってゆきましょう。

 ②次に日本の病院と一番異なる点は、基本的に≪患者自身がカルテを保管し、通院の度に持ってくる≫ことです。 従って初診の場合、最初にこのカルテを購入しなければなりません。 
 カルテの中国語は『病历』で、費用は約5元くらいでしょうか。 勿論手続きにはパスポートが必要なのでお忘れなく。

 ③カルテをもらったら該当する診療科の受付に行って、登録『挂号』してもらって下さい。
 それから、大きな病院であれば待合所の電光掲示板に自分の名前が出るのを待ちましょう。
 小さな病院であれば担当医のところに直接行ってカルテを渡し、診療の順番が来るのを待ちましょう。

 ④さて呼び出されて診察を受けると病状が特定され、担当医は診断内容と薬の処方箋を書いてくれます。
 日本だと診療ついでに注射や点滴を受けるケースもありますが、 ≪中国の病院は何事も支払いが先≫です。
 診断書と処方箋をもって会計カウンターに行き、そこで支払いを済ませて下さい。

 ⑤支払いが終わってハンコの押されたレシートと処方箋を薬局へもって行くと、そこで薬や注射液、場合によっては点滴液が渡されます。
 注射は大きな病院では注射専門のカウンターがあるので、そこに行って下さい。
 小さな病院では係員の指示に従って注射してもらって下さい。

 ⑥日本の場合、点滴を受けるのはかなり重症の場合に限られますが、中国ではごく一般的に点滴『挂水』が行われています。
 だいたい点滴ルームがあるので、看護婦さんに購入した点滴を渡し、適当な椅子に座って点滴を受けて下さい。
 大体1時間か2時間くらいでしょうか。 周りの中国人の患者は、お喋りしたり弁当を食べたりで賑やかに時間を潰しています。
 点滴といってもあまり深刻になるには及びません。


 まあざっとこんな感じですが、案じるより産むが易しで行ってみればなんとかなるものです。
 病気になった方は決して無理をせず、早めに病院にいって下さい。
 尚、海外保険に加入している方は、保険求償にレシートが必要ですので無くさない様に気を付けて下さい。



 追伸:広州路300号の「江蘇省人民医院」には外国人専用の窓口があり、日本語が通じる先生もいるようです。 こちらで受診されたことのある方は情報提供を! (A.K.)



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