『それでも私たちが中国に住む理由』 [書評]

『それでも私たちが中国に住む理由』

『それでも私たちが中国に住む理由』(阪急コミュニケーション)という本が今日本で話題になっている。中国在住の108人の思いを綴った文集である。作者の一人、鈴木征四郎氏はここ南京に今も居住している。その鈴木氏の文章の一部(一部抜粋)を本人の許可をいただいてご紹介することにした。

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日本政府が尖閣列島を国有化した昨年9月11日、そうとは知らず午後、南京市内でタクシーに乗った際には、40歳前後の運転手から「どこの国の人間か?」と聞かれました。各地で「反日」デモが起きているような場合、「韓国人」と偽って災いを避ける日本人もいるようですが、私は一貫して正直に「日本人だ」と答えることにしています。

すると運転手の顔が険しくなって、「じゃ、聞くが、釣魚島(尖閣列島の中国名)についてはどう思うか?」と聞いてきました。私は一瞬面食らったものの、逆に「あなたは領土問題の専門家なの?」と問い返すと、彼は手を振って否定したので、「私も専門家じゃない。この問題は両国の指導者間で話し合えばいいのであって、門外漢の我々庶民同士が、一番敏感で難しいこんな問題を議論することに何の意味があると思う?」と話しました。

メディアが共産党宣伝部の統括下にある中国のニュースは官製なので、「釣魚島は中国固有の領土」という宣伝を繰り返し聞かされ、相手の日本側がどういう主張をしているのかを庶民は知りません。私が運転手に「他国のニュースは見ているの?」と尋ねると、彼は「見ていない」と正直に答えました。「知る権利」が保障されず、メディアに真実を「知らせる」権利も義務もない現状では、国民が本当の世界を知らないことが大きな問題だと思います。

一応納得できたのか、そのあと運転手は自宅にある電化製品やカメラや携帯はすべて品質のいい日本製だと、笑顔になって自慢話を始めました。

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