南京神社遺構 [民国残影]

 南京市内には江蘇省体育局管理下のスポーツ施設が集まっている『五台山』という小高い丘があります。
 ここの一画には江蘇体育賓館というホテルがあるのですが、裏手の永慶巷から通じる道は左右に杉並木があって、何だかどこかで見たことのあるようなデジャヴな違和感を覚えてしまうのです。

南京神社遺構③.jpg

 門をくぐって更に真っ直ぐ行くと、写真のような建物が現れますが、これは戦時中日本人によって建設された南京神社の社殿の遺構です。 (先ほどの杉並木の道は、その参道だったのです。)
 入口の両側には石獅子が鎮座していますが、嘗てあったであろう狛犬を彷彿させますネ。

南京神社遺構④.jpg

 途中の右手奥には写真の日本式家房があるのですが、恐らくこれは社務所の遺構でしょう。
 ものの資料によると当時境内には南京攻略戦の戦没者を祭る南京護国神社もあったそうですが、現在その跡地は不明です。

南京神社遺構②.jpg

 南京神社の御祭神は天照大神・明治天皇・国魂大神の合祀でしたが、他の占領地域に建立された神社でも特に太陽神である天照大神(アマテラスオオカミ)をお祭りするケースが多かった様です。
 もともと中国には老天爺など農耕的な宇宙神を祭る風習があったので、例えば日本武尊(ヤマトタケルノ命)みたいな民族性の強い神よりも中国の土壌に馴染みやすいのではという判断があったのかも知れません。

 これらの海外神社(特に満州や中国の占領地域に建立された神社)を管轄していたのは現地領事館が多く、ここ南京神社を管轄していたのも当時の南京領事館でした。
 やはり戦時期の海外神社は国策的要素の強いものが多かったのでありましょう。

 しかし、戦後ほとんどの神社が破壊された大陸中国のなかで、ここでは歴史的建築物として遺構を保存してくれていることに驚きを感じます。
 日本の皆さん、南京って結構奥深いところだと思いませんか?

南京神社遺構①.jpg

 尚、社殿遺構の近くには写真の『蒋中正(蒋介石)手植の樹』という石碑が立っています。
 何で蒋介石がここに記念樹を植えたのか理由は不明ですが、恐らくは国民政府は(台湾でもやったように)戦後は一部の神社を『忠烈祠』に作り変えていたからではないかと思います。
興味のある方は档案館などで是非調べてみて下さい。(A.K.)

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月のうさぎ

本日 2013年10月2日 私こと南京神社および南京護国神社跡に行って参りました。初めは誤って、遮断機の手前にある横道に入って少し降りたところで、バカでかいシェパード(檻に入っていたが・・・)に吠えられ、逃げてきました。

実をいうと、手前の神社が南京護国神社、やや小高いところにある神社が南京神社となります。ちなみに最寄りの日本風居酒屋に行きましたが国慶節のため休業でした。

私ことこのたび南京の某大学にて客座教授となりましたが、明日から上海に向かいます。

南京に戻るのはいつか分かりませんが、今後とも宜しくお願い致します。

by 月のうさぎ (2013-10-02 20:47) 

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