中国の米がおいしくなった [生活]

中国のお米がおいしくなった


20年以上前に中国に行ったことがある人なら、当時の中国のご飯の味や食感は今でも覚えているだろう。多くの人は「パサパサ、パラパラで食べられなかった」という記憶が残っているに違いない。


抗日戦争期に蒋介石がこんなことを兵士に語ったことがある。「日本の兵隊は冷や飯を食べる。お前たちは暖かい飯でなければいやだと言う。どちらが忍耐強いかは言うまでもない。敵のよいところは学べ」と。これには兵士たちが驚いた。何しろ中国では「冷や飯は乞食も食べない」という話があるぐらいで、冷や飯はまずいものの代表だからである。


しかし、蒋介石の話には隠されている部分がある。日本の米(ジャポニカ種)と中国の米(インディカ種)との違いだ。後者は炊くとパサパサとした食感で「箸でつかもうとしてもパラパラこぼれ落ちる」と言われるほどだ。チャーハンなどには最適だが、そのまま食べたならば、少なくともジャポニカ種の食感に慣れた日本人にはおいしく感じないはずである。まして冷や飯だったら日本の乞食も食べないと断言できる。これに対して、ジャポニカ種は冷えてもおいしい。グルメ漫画『美味しんぼ』にも「コシヒカリの水漬け」なるメニューが登場していたぐらいである。蒋介石は日本の軍学校に留学したことがあるので、日本の米の食感は当然知っていたはずだが、兵士に刺激を与えるためこの事実を隠したと推測できるのである。曹操が「向こうに梅の木があるぞ」と言って兵士の渇きを癒したエピソードを思い出す。


ところが、最近はどうだろう。日本料理店は言うまでもないが、中華の店でも「飯に粘り気がある。日本の米と同じだ」と感じたことはないだろうか。確かに、中国の米は「おいしくなった」(厳密に言えば「日本人の舌に合うようになった」)のである。歴史的に見ると、中国におけるジャポニカ種の栽培は、偽「満州国」に移住してきた朝鮮族が手掛けたのが始まりである。しかし、当時は偽「満州国」居住の日本人しかその味を楽しむことはできず、解放後も全中国に普及するには至らなかった。ジャポニカ種が江南の地でも栽培されるようになったのは、実は最近すなわち改革開放後なのだ。



つまり、生活水準の向上が中国人の舌を変えたのだ。マックやケンタッキー同様、「豊かさ」が新しいものを購入する余裕とそれへの関心を生み出したわけである。もしかしたら、若い世代の中国人は「ジャポニカ種こそが米の味」と思うようになり、冷や飯のうまさも感じるようになるかもしれない。




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コメント 2

普通の日本人

抗日戦争 とか偽満州国とか あなた方って日本人じゃないの?
by 普通の日本人 (2013-05-10 16:26) 

南京日本人会事務局

コメント及びご指摘ありがとうございます。今後誤解を与えるような表現には細心の注意いたしますからどうかご了承ください。

できれば、文章全体についてのご感想もお願いします。
by 南京日本人会事務局 (2013-05-15 14:45) 

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